ダイエット中の人にとって「コレステロールは天敵」と思い込んでいる方も多いのではないでしょうか?
しかし、人が生きていく上でコレステロールはとても重要な物質です。
最新の研究では「コレステロール不足は認知症にかかるリスクを上昇させる」という衝撃のレポートが報告されました。
今回は知っているようで知らないコレステロールに注目してみましょう。
そもそもコレステロールって何?
まず、コレステロールがどんなものなのかを簡単に説明します。
コレステロールは「脂質」の一種です。家庭科で習う三大栄養素や五大栄養素(タンパク質、脂質、糖質、ビタミン、ミネラル)にも脂質は含まれていますので、脂質という言葉自体は聞いたことがあるかと思います。
「脂質」とは漢字からもイメージできるように「脂(あぶら)分」になります。特に馴染みのある「脂質」には「皮脂」があります。
皮脂は肌全体を覆っている油分で、乾燥や外的なストレスから肌を保護してくれる重要な成分です。
また、「皮下脂肪」や「内臓脂肪」は体内でブドウ糖から合成される脂質で体温の維持やエネルギー源として利用されています。
このように、体内で脂質は重要な役割を果たしているのですが、コレステロールの働きはどんなものかというと「細胞膜の原料」と「脂溶性の栄養素を細胞内に取り込む」という働きがあります。
人間の体はおよそ60兆個もの細胞でできているので、コレステロールが無ければ細胞膜が形成できないため、生きていくことができなくなってしまいます。それぐらい大切な物質がコレステロールなのです。
善玉コレステロールと悪玉コレステロールの違い
コレステロールと言うと「善玉コレステロール」と「悪玉コレステロール」がありますが、その違い簡単に紹介します。
ネーミングからして「善玉」は体に良い成分で、「悪玉」は健康被害をもたらしそうな存在ですよね。
この二つのコレステロールの一番大きな違いは「融点」にあります。
結論から言えば、善玉コレステロールは常温(25℃前後)で液体なので融点が低い物質です。悪玉コレステロールは個体で、融点が高い性質があります。
わかりやすい例で言うと、
・オリーブオイルやごま油→常温で液体なので「善玉コレステロール」
・ラードや牛脂→常温で個体なので「悪玉コレステロール」と理解すればよいでしょう。
更にこの分類から分かることは、
・植物性オイル→善玉コレステロールが多い
・動物性油脂→悪玉コレステロールが多いということです。
では、どうして常温で液体だと「善玉」、常温で個体だと「悪玉」に分類されるのでしょうか?
これは人間の「深部体温」と大きく関連してきます。
人間の深部体温は大体37℃前後(体温より1〜2℃高い)と言われています。コレステロールは小腸で吸収された後に血液に乗って全身を巡ります。
この時に融点の高い悪玉コレステロールだと、深部体温でも凝固し「血栓」になって血管壁にこびりつき、血液の流れの邪魔をして「高血圧症」「動脈硬化症」「脳梗塞」「心筋梗塞」「狭心症」などの重大な病気の原因となります。
また、「冷え性」や「むくみ」「脱毛症」「男性のEDや女性の不感症」も血流障害が原因なので、様々な健康被害をもたらすことから融点の高いコレステロールは「悪玉」だと考えられてきました。
一方で、常温で液体の善玉コレステロールであれば体内でも凝固せず液体のままです。
また「コレステロール」は脂溶性物質(油分に溶けやすい物質)なので、血液内にある「悪玉コレステロール」を溶かして排泄してくれます。
つまり、体内にある余分な悪玉コレステロールをやっつける正義の味方なので善玉という訳なんですね。
悪玉コレステロールは本当に悪いもの?
長い間「悪玉」として不名誉な扱いを受けてきたLDLコレステロール(悪玉の代表的な物質です)ですが、実はこれにも重要な働きがあります。
体内に吸収される栄養素には水溶性の物質と、脂溶性の物質があります。
脂溶性の栄養素として代表的なものが「ビタミン類」です。今では三大栄養素にビタミンとミネラルを加えて五大栄養素に再定義され、生きていく上で欠かせない物質として有名ですね。
このビタミン類を身体中に届けるのが「LDLコレステロール」の役割であり、善玉コレステロールは余分なLDLコレステロールや脂溶性の老廃物などを排泄するための働きがあるのです。
つまりLDL(悪玉)コレステロールがビタミンを細胞に届け、HDL(善玉)コレステロールが役目を果たしたLDLコレステロールを排泄する。
健康上はどちらも必要な物質ですから、バランスよく両方摂ることが重要と言えます。
今回はコレステロールについて紹介しましたが、悪玉も善玉もバランスよく摂ることが重要なのが分かったかと思います。