これまで、「脱毛症」と言えば男性がかかるものだというイメージが持たれていましたが、近年女性の間でも脱毛症が増加しているという厚労省の調査結果が公表されています。
しかしながら、脱毛症の悩みで皮膚科を受診している患者数の90%以上が男性なので、まだまだ「脱毛症」は男性特有の病気と言えますね。
今回は男性に最も多い、「AGA(男性型脱毛症)」について説明していきたいと思います。
脱毛症の80%以上がAGA
”病気としての脱毛症”として最も数が多いのは「AGA(男性型脱毛症)」とされています。
事実、脱毛症で皮膚科を受診した患者に関するデーターによれば85%程度がAGAで5%程度が「びまん性脱毛症」、残りはそれ以外の脱毛症(円形脱毛症など)になります。
「AGA」が”男性型脱毛症”と言われるのには、男性に患者数が多いからという理由以外にもちゃんとした根拠があります。それが”「テストステロン」と呼ばれる男性ホルモン”の存在です。
男性ホルモン「テストステロン」の働き
本来「テストステロン」には”髪の毛を太く丈夫にする”という作用があります。
ヘアサイクルに直接関与しているのは女性ホルモンですが、生えた髪の毛を頑丈にするのは男性ホルモンの役割なのです。
そのため、毛根にはテストステロンをキャッチする”テストステロン受容体”と呼ばれる物質があります。
しかし、毛根近くの皮脂腺から分泌される「5α-リダクターゼ」と呼ばれる酵素がテストステロンに作用すると「ジヒドロテストロン」という物質に変位してしまいます。
テストステロンとジヒドロテストロンは組成が非常によく似ているので、テストステロン受容体が誤ってジヒドロテストロンをキャッチしてしまうとヘアサイクルに悪影響を及ぼし、脱毛症が進行します。
これがAGAのメカニズムになります。
脱毛症で唯一許認可された飲み薬「プロペシア」
どうして”5α-リダクターゼ”が毛根近くの皮脂腺から分泌されるのかなど詳しい原因はわかっていませんが、この酵素の働きを阻害(邪魔)することができれば”ジヒドロテストロン”は合成されないため、AGAの改善につながります。
この作用をもつ成分が「フィナステリド」であり、現在日本で唯一”AGA治療薬”として厚労省に許認可されている飲み薬がフィナステリドを主成分とする「プロペシア」になります。
この飲み薬が開発されたおかげで、AGAを積極的に皮膚科で治療することが可能となったのですが、問題点もあります。
現在「プロペシア」は健康保険が効かない「自由診療」の医療用医薬品です。
つまり、「プロペシア」を入手するためには皮膚科を受診して、処方箋を発行してもらわなければなりません。
そのためには「診察」や「検査」なども必要になってくるのですが、こうした治療費が”全額自費+消費税”の扱いとなってしまうのです。
ただし、AGAには特徴的な症状(M字ハゲや頭頂部だけのハゲなど)があるので、問診によって確定診断をつけて検査費用はかけないようにして、治療費を安くする努力をしている良心的な皮膚科もあるので、受診前にサイトや電話でAGAの治療内容を事前確認しておくことをお勧めします。