女性がなりやすい疾患の上位にランクインする貧血。貧血とはその名の通り、体内の血液が不足しめまいや立ちくらみ、吐き気などの症状を引き起こす疾患のことです。
女性が男性に比べて貧血になりやすい理由は、月経や妊娠・出産とそれに伴う女性ホルモンの変化の影響を大きく受けるためだと言われています。なので、日頃から血液の材料となる栄養素を積極的に摂取することが求められるのです。
女性なら誰でも発症するリスクの高い貧血、その貧血を引き起こす原因と正しい対処法についておさらいしておきましょう。
女性の社会進出により増加したストレスによる貧血
昨今は女性のほとんどが男性と同じく企業で働くようになり、社会進出も年々活発になってきました。
その反面、仕事や人間関係、さらには仕事と家庭の両立などの問題にさらされる機会も増え、地位向上に伴って激しいストレスを感じる機会も増えたと言います。
実はこのような激しいストレスを頻繁に感じるようになると、貧血を発症するリスクが高まってしまうことが分かっており、働く女性が貧血を発症したときはその原因がストレスであるケースも多いです。
人間の身体は強いストレスを感じると自律神経が乱れ、交感神経の働きが鈍ってしまいます。
交感神経の動きが鈍ると血圧が乱れがちになる、あるいは高血圧気味になることも多く、その結果立ちくらみなどの症状が起きやすくなるのです。
さらに、ストレスを感じている身体は精神的に不安定な状態になり、食欲不振から食事を身体が受け付けなくなることも珍しくありません。
食事を取らなければ当然血液の材料が不足してしまうので、貧血になるリスクがさらに高まるという悪循環を繰り返してしまうのですね。
偏食や外食によって起こる鉄欠乏性貧血
普段から外食やインスタント食品を多く利用していたり、好き嫌いが多く極度の偏食家な人は体内の鉄分が不足する鉄欠乏性貧血を起こしやすい傾向にあります。
鉄分、すなわち血液が不足して起こる貧血がこの鉄欠乏性貧血であり、女性が最も発症しやすい貧血としても有名です。
鉄欠乏性貧血を見分けるためには、その症状や身体に現れるサインを見逃さないことが重要です。
たとえば、下まぶたの粘膜が青白くなっていたり、爪に縦じわが入る、または爪が白く濁るといった変化があれば鉄欠乏性貧血の予備軍である確率が高いと考えられます。
血液は食事から吸収した栄養や酸素を全身に運ぶ働きを持っていますので、不足してしまうと身体の機能が著しく衰え肉体的にも精神的にも不調が起こりやすくなることも。
鉄欠乏性貧血の初期症状は軽い立ちくらみなどですが、悪化すると激しい動悸やめまいが頻繁に起こるようになり、立っていられないほどの息苦しさを感じることもあるので注意しなくてはなりません。
バランスの良い食事で鉄分を補給して貧血を予防
貧血を予防するには日頃から栄養バランスの良い食事を心がけ、鉄分をたっぷり含む食品を積極的に食べるようにすることです。
鉄分を多く含む食材は豚肉や鶏レバー、魚介類などが有名ですが、中でも動物性の豚肉や鶏レバーはヘム鉄と呼ばれる鉄分が豊富なため貧血予防にはもってこいの食材だといえます。
ヘム鉄は魚介類や穀類に含まれる鉄分に比べて体内での吸収率が良く、摂取するとスムーズに消化・吸収されて血液を作る材料になります。
ヘム鉄は体内に吸収されると酸素と結びつくという性質があります。そして血液とともに酸素を身体の隅々まで運ぶ働きを持っているため、体内に酸素が満遍なくいきわたり生命維持活動を効果的に行なうのに役立つ、というわけなのですね。
貧血になってしまったときの正しい対処法
もしも貧血になり、立ちくらみなどの症状に襲われたときは焦らず冷静に対処しましょう。
貧血になったとき、まずするべきは身体を締め付けないために服装を見直すことです。身体を締め付けてしまうとどうしても血管が収縮して血液の流れが悪くなって貧血を悪化させてしまうため、ジャケットを脱いだりベルトを外すなど服装を緩めて身体を締め付けないようにしてください。
そして身体が冷えていると血行不良が起こりやすいため、特に冷えやすい手足を重点的に温めてからベッドに横になり安静にします。
一時的な貧血はこのような対処法で改善しますが、もしも頻繁に貧血の症状に襲われるようであれば速やかに医療機関を受診し、検査を受けてください。
貧血だと思っていた症状が実は重病からくるものだったというケースもあるため、安易に自己判断をせず医師の診断を受けることが、最も適切な貧血の対処法であることに変わりはありません。
忙しい現代人は、立ちくらみが怒ってもそれが貧血からくるものだとは気づかない場合も多いと言います。
しかし、女性にとって貧血は月経や出産にも大きく関わってくるものですから、少しでも貧血の疑いがあるときは食事や生活習慣を見直し、不安であれば医療機関を受診するように心がけましょう。