握力低下がもたらす病気「頸椎症」や「胸郭出口症候群」に気をつけよう!
何かを持った瞬間に力が入らず、物を落としてしまうときに、つい「歳のせい」にしてしまっていませんか?
こうした握力の低下は、実は他の疾患の初期症状であることも多く、放っておくと大変なことになってしまうケースもあります。
握力の低下によって考えられる健康リスクについて見てみましょう。
握力が低下したら、頚椎症の可能性が大
著しい握力の低下を感じる人は、よく首や頭部にトラブルを抱えていることが多いと言われます。
中でも、特に多いと言われるのが頚椎症(けいついしょう)。
頚椎症は本来、加齢と共に発症することが多い疾患で、何らかの理由で首の頚椎が変形することによって首や頭部はもちろん、上半身の神経などが圧迫され、次第に腕が動かしにくくなるなど身体に不調が現れます。
当然、神経が圧迫されることで握力にも悪影響が及び、握力が極端に低下したり物を掴めない、握ることが出来ないといった症状を引き起こします。
しびれを伴う場合は胸郭出口症候群の疑いもあり
頚椎症と共に、握力低下を引き起こす疾患に胸郭出口症候群(きょうかくでぐちしょうこうぐん)があります。
胸郭出口症候群は、心臓周辺の血管が胸部の骨格である胸郭付近で圧迫されることにより、上半身の神経も圧迫の影響を受け腕がしびれたり、肩や腕を動かすときに鋭い痛みを感じるようになったりします。
手を動かし、何かを掴むときにしびれや痛みを感じるときは、頚椎症よりも胸郭出口症候群を疑ったほうが良いでしょう。
胸郭出口症候群を発症すると、握力も10~20キロ程度落ちることが分かっています。
握力低下を放置すると将来の病気リスクも上昇
明確な理由については不明な点も多いのですが、握力の低下を放置すると将来的に認知症になるリスクが高まることが分かっています。
この他にも、握力が低ければ低いほど脳卒中や心臓発作を起こすリスクが高いと言われ、海外では高血圧症にかかりやすいという研究結果まで発表されています。
一見、無関係に見える握力の低下とさまざまな疾患とは、実は私達の知らないところで密接な関わりを持っているのです。
握力が落ちたという自覚があっても、その原因は年齢や体調にあると思い込んでしまう人がほとんどですが、実際には握力低下の影には、命を脅かす大きな病気が隠されているのです。
握力の低下を軽く考えずに、もしも生活に支障が出るほどの違和感を感じたときは、すぐに病院で検査をするようにしてください。
早期対処をすることによって、握力の低下がもたらす将来の病気リスクも、ぐっと減らすことが出来るはずです。