「がん」と「癌」の違いとは?最近の珍しい治療法も紹介
国立社会保障・人口問題研究所の試算によれば、2031年には日本人全人口のうち1/3は65歳以上の高齢者になると言われています。
高齢化が進むと様々な病気の有病率も相対的に高くなっていくのですが、中でも特に懸念されるのが「がん」の有病率の増加です。
「がん」は現時点でも20年近く日本人の死亡原因第1位を独走中なのですが、今後高齢化が進むとさらに有病率が高まるということなので、上記の試算通りになれば今以上に身近な病気になるということになりますね。
そこで、今回は決して他人事ではない「がん」についてももっと良く知るために「がん」にまつわる豆知識について説明していきたいと思います。
「がん」と「癌」の違いについて
「がん」という病名はひらがなやカタカナで「がん(ガン)」と表記する場合と、漢字で「癌」と表記する場合では少しニュアンスが変わってきます。
漢字の「癌」は古い読み方だと「いわ」になります。つまり、「しこり」を意味する医学用語で江戸時代頃から頻繁に用いられるようになりました。
医療技術が進歩した現代では「がん」には二つのタイプがあることがわかっています。
一つは「胃がん」や「大腸がん」「乳がん」のように「腫瘍」ができるタイプ、もう一つは「皮膚がん」のように「腫瘍」化しないタイプです。
「腫瘍」とは通常の代謝サイクルに反して、細胞が異常増殖することによってできる組織の”塊”という定義があります。
一方で病気としての「がん」は遺伝子の異常や細胞の突然変異によって起こる病気で、変異した細胞が異常増殖するというプロセスを辿ります。
皮膚がんのように上皮細胞に起こる「がん」の場合、横に広がるように増殖していくので組織が集まって腫瘍化するということはありません。つまり、「しこり」のできない「がん」なのです。
ただし、腫瘍化するタイプも、そうでないタイプも、病気発生のメカニズムは”突然変異した細胞が異常増殖することで起こる”ため「がん」という呼称で統一されています。
ですから、腫瘍化する「胃がん」の場合は「胃癌」と表記しても間違いではありませんが、「皮膚がん」の場合「皮膚癌」と表記するのは医学的には正しくありません。(あくまでも”厳密に言えば”ということですが。。。)
ちょっと変わった「がん」の治療法
「がん」の治療法でもっともポピュラーなものといえば「手術」と「化学療法(抗がん剤+放射線治療)」ですが、がんの中にはちょっとユニークな治療法を行うケースがあるので紹介しましょう。
この治療法は膀胱内にできる「上皮内がん」(腫瘍化しないタイプ)に対して行われる治療法で、その名も「BCG膀胱内注入療法」と言います。
ある程度年齢の行った方なら”BCG”という言葉には聞き覚えがあるのではないでしょうか?そう、結核の予防接種に使われていたワクチンです。
この治療法はBCGワクチンを膀胱内に注入してがん細胞をわざと結核菌に感染させ、抗体を作らせることで結核菌とがん細胞を一緒に叩くという治療法です。
かなり特殊な治療法ですが、今の所手術の適用が困難で、化学療法も効果が低いとされている「膀胱上皮内がん」に対する唯一の治療法とされています。