中年太りは問題なし?太っていることが健康である理由とは?

男女共”中年期”に差し掛かると気になり始めるのが「中年太り」ではないでしょうか?確かに見た目にもかっこいいとは言えませんし、「太っている」ということは健康上良くないと信じられています。

しかし、最近の研究では「中年太りは健康な証拠」であるという説が有力視されるようになりました。

今回は、これまでの定説を覆すこの「中年太り」の正体に迫ってみましょう。

「太る」ということは健康に悪くない?

中年太りに限らず「太る」ということは”深刻な健康被害を及ぼす”というのが従来の定説でした。ではどうして人は太るのでしょう?

「太る」というのは皮下や内臓に異常に脂肪が付いてしまった状態を指しています。

付きすぎてしまった脂肪は周囲の血管を圧迫し「血流障害」を引き起こします。

 

また、皮下脂肪は熱伝導率が悪いためエアコンの効かせすぎや冷たい水に長時間浸かっていると「低体温症」を招き場合によっては命に危険が迫るような深刻な健康被害をもたらします。(女性に冷え性が多いのも皮下脂肪率が男性よりも高いからだと言われています)

これが、「太る」=「不健康」と言われる理由なのですが、ではそもそもどうして「脂肪」が着いてしまうのでしょうか?

 

人の体内では「代謝」と呼ばれる熱化学反応が行われることで、色々な物質の分解や再合成が行われ、60兆個にも及ぶすべての細胞に対して栄養素と酸素を供給し、老廃物や古い細胞を排泄しながら生命を維持していきます。

この「代謝活動」の”燃料”となるのが「ブドウ糖」です。ブドウ糖は血液中の糖質やでんぷん(炭水化物)が膵臓から分泌されるインスリンという代謝ホルモンによて分解されてできる物質です。

 

そして、ブドウ糖はすぐにエネルギーとして消費されるため、食事によって適宜糖分や炭水化物を補給しなければならないのです。

しかし、消費しきれなかった余剰分は「脂肪酸」に再合成されて皮下や内臓に蓄えられます。つまり、「脂肪」とは「エネルギー源の体内備蓄分」なのです。

日中の活動中や激しいスポーツをしている時は内臓脂肪や皮下脂肪からブドウ糖を再合成して消費していきます。こうして肥満を解消していくのが「ダイエット」になります。

 

中年太りが健康的である理由とは?

少し、前置きが長くなってしましましたが、「脂肪」=「エネルギー源の体内備蓄分」であるということはこの先とても重要な意味を持ってくるので良く理解しておいてください。

大まかに言えば、「代謝」は生命維持活動そのもであると言えますし、その活動を維持するためのエネルギーとしてブドウ糖は必須物質で、エネルギー切れを起こさないように「脂肪」として内臓や皮下に蓄えていくということになります。

 

ところが人は年齢を重ねる毎に「代謝」が鈍ってきます。

年をとると老化現象が現れてくるのも「代謝」が落ち込んでしまうからなのですが、「呼吸をする」、「体温を一定に保つ」、「内臓を動かす」、「排泄を行う」など生きていく上で重要な自律神経の活動をしっかりと行うためにもエネルギーが必要なので、ブドウ糖は常に必要な物質であることには変わりありません。

 

しかしながら全体的な代謝が落ちこむことで、食事として摂取するブドウ糖量は年齢を重ねる毎に減少していってしまいます。実際に65歳以上の高齢者は食が細くなっていくのもこれが原因となります。

代謝の落ち込みは30代頃から始まり、高齢者になると急激に落ち込むようになります。したがってエネルギー源の備蓄がないと、いざ高齢者となった時に食事から積極的なエネルギー補給ができなくなってしまい、ガス欠状態を起こしかねないので、脳は「エネルギー源を蓄えよ」という指令を出すのです。

 

言い換えれば、50代頃から中年太りが始まるのは脳が「将来に備えて太れ!」という指令を出しているからなんですね。

したがって中年期になっても太れない人はもしかしたら脳から「エネルギーを蓄えよ」という指令が出ていないケースが考えられます。

 

現状ではその状態が果たして脳の異常と言えるのかどうかは研究段階ですが、傾向としては中年太りの人に比べて、中年太りでない人の方が平均寿命が短いというデーターが報告されています。

つまり、「健康な脳だからこそ、中年太りが起こる」という新説が成立することになります。

とはいえ、やはり太りすぎは健康被害をもたらすので、”ほどほどに恰幅がいい”のが理想と言えるでしょう。