女性だけでなく男性も発症?更年期障害の症状や原因とは
更年期障害と言えば「40代以降の女性がかかる病気」というイメージで捉えられがちですが、実は男性でも発症します。
ただし、女性に比べ男性の患者さんというのがあまり目立ちませんが、そこには幾つかの理由があります。
今回は40代になると気になり始めるこの「更年期障害」について説明します。
更年期とはどういうもの?
一般的に言って、更年期と聞くと漠然と40代半ば以降の中年期というイメージを持たれがちですが、実際には更年期に定義はなく、「体調不良を起こしやすくなる年代」や「初期の老化現象」という意味で用いられています。
「更年期」という言葉をよく見ると、「更に年を重ねる時期」という風にも読めます。
老化というのは体内のホルモンバランスが崩れ、体のいたるとことで不調を起こす現象です。
その初期段階として「更年期」という言葉があり、この更年期=「初期の老化現象」が始まるのが大体40代半ば頃なので、その年代を意味する言葉として定着したという経緯があるのです。
更年期障害の症状とは?
「更年期障害」を見てみると、こちらは「更年期に起こる障害」という意味になります。つまり「初期の老化現象として起こる体調不良の総称」が更年期障害なのです。
したがって症状は一様ではなく多様性があります。更年期障害の症状にはどんなものがあるかをまとめてみました。
・顔の火照り、赤ら顔(ホットフラッシュ)
・多汗
・動悸、息切れ、不整脈
・生理不順
・不定愁訴(イライラして短期になる)
・すぐに不安になる
・易疲労感
・慢性的な倦怠感
・便秘
・頭痛
・うつ状態、不眠
などです。これでも代表的なものの一例で、他にも多くの症状が起こる可能性があります。
更年期障害の原因はホルモンバランスの異常
更年期障害の原因は「ホルモンバランスの異常」です。特に女性ホルモン量の低下によって、上記のような多種多様な辛い症状を引き起こすことが分かっています。
しかし、異常といってもウィルス感染症などの原因があってホルモンバランスが崩れるのではなく、年齢を重ねるごとにホルモン産生能力が低下していくことで自然発生的に起こるのが更年期障害です。
人によっては更年期にさしかかっても、辛い更年期障害の症状を覚えない人もいます。これは女性ホルモン産生量の低下が緩やかで、健康被害を及ぼすような急カーブを描かないタイプの人に多く見受けられます。
また、40代以前でもホルモンバランスが急激に崩れると更年期障害と同様の症状が出てくるケースもあります。
このように病的な原因でホルモンバランスが乱れるのではなく、自然な生理現象として起こる症状なので、つい最近までは病気として認められていませんでしたが、近年は発症の理由が病的で自然的な生理現象であれ、健康被害を引き起こしていることには変わりないので、病気として積極的な治療を行うようになりました。
主な治療法は、
・投薬治療(ホルモン充填療法、漢方薬など)
・対症療法(症状に合わせて、薬によって症状を軽減する治療法)
・生活指導(食生活や運動習慣を見直してホルモンバランスの乱れを整える方法)になります。
女性の更年期障害は閉経を迎えるとホルモンバランスが落ち着き、症状は自然とおさまります。
しかし、長い人は20年近く辛い症状が継続するため、更年期障害かな?と思ったら我慢せずに病院に相談しましょう。
上記のような症状で、年齢的にも更年期障害が疑われる人は婦人科を受診するのが一般的です。
男性の更年期障害の症状とは?
ここまでは世間でもよく知られている更年期障害のお話しです。
しかし、冒頭でも述べたように男性にも更年期障害は起こり得ます。女性のように症状が極端に出ないのは、もともと女性ホルモンの産生量が少ないからです。
また、男性特有の症状というのもあります。その代表的なものを紹介します。
・脱毛症(男性型脱毛症)
・ED(勃起障害)
・加齢臭
・易疲労感
・脱力感、集中力の欠如
・多汗
・前立腺肥大
・うつ状態
・頭痛
などです。症状の多様さにおいては女性に引けを取りませんね。
ただし、長らく男性の更年期障害というのは注目されることがなかったため脱毛症やED、前立腺肥大、うつ状態などは個別の病気として治療が行われています。
したがって女性の更年期障害のように婦人科で総合的な治療を受けるというよりは、脱毛症は皮膚科、EDと前立腺肥大は泌尿器科、うつ状態は精神科(心療内科)といった具合に病態(病気の状態)によって診療科が変わってきます。